障害者手帳とはなんなのでしょうか?

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精神障害者福祉

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うつ病や双極性障害、統合失調症などの精神疾患・精神障害の治療を続けていると、「障害者手帳」の存在についてフワッと知ることがあります。「障害者手帳ってなんなのかよくわからないけど、とりあえず取得してみようかな」と考える人もいるでしょうし、逆に警戒したり敬遠したりする人もいるかもしれません。

この記事では、そもそも障害者手帳とはなんなのかについて書きます。障害者手帳の意義、取得するメリットとデメリット、所得する方法などについては、また別に書きます。

なお、この記事も主に私個人の体験に基づいて書いています。多少は調べたりしてますが、東京都の情報くらいしか参照していません。

実際に取得をお考えの際には、必ずお住まいの自治体の窓口やウェブサイトなどを確認してください。

障害者手帳ってなんなんですか?

障害者とはなんなのか

そもそも、障害者手帳に含まれる「障害者」とは一体なんなのでしょうか。たとえば、日本の障害者基本法では、障害者とは「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」と定義されています。

障害者基本法にある「障害者」とは、障害によって生活に制限を受けている(よって援助が必要な)人のことを広く指します。障害者とは、単に「障害者手帳を持っている人」のみを指しているわけではありません。

また、一般的に「障害者」と言う場合にも、常に「障害者手帳を持っている人」を意味するわけではないと思います。たとえば四肢が不自由であったり、目が見えなかったりする場合、手帳の有無を確認するまでもなく「障害者である」という印象を抱くはずです。

逆に、精神障害者の場合、たとえ手帳を持っていたとしても、一時的に症状が軽快している場合や寛解期に入っている場合だと、一見して障害者であると判断することは難しいでしょう。

「障害者」とは、決して一義的ではない、幅広い意味を持つ言葉です。

障害の状態にあることの公的な証明書

では、障害者手帳とはなんなのでしょうか。端的に言うと、「その人がその障害の状態であることを表す公的な証明書」です。

まず、障害者手帳を交付する主体は、都道府県や市町村などの地方公共団体です。障害者手帳に記載されている内容は、公的に証明されているわけです。

では、障害者手帳はどのような内容を証明しているのでしょうか。障害者手帳が証明する内容は、大きく分けて以下のふたつです。

その人が本人であることの証明

障害者手帳には、その人が本人であることを証明する情報、個人情報が記載されています。氏名や生年月日、住所などがそうですし、多くの場合は顔写真も貼付されており、障害者手帳の内容によって、その人の身分を証明することができます。要するに身分証です。

公的な身分証といえば、都道府県の公安委員会から交付される運転免許証や、市区町村から交付されるマイナンバーカード、外務省から交付されるパスポートなどがあります。それらと同じように、障害者手帳も、公的な身分証として使用することができます。

障害の状態であることの証明

障害者手帳には、その人が障害の状態であること、障害の種類や程度など、障害について証する記載されています。

その人がその障害であることの証明書

障害者手帳に「その人の個人情報」と「その人の障害に関する情報」がセットて記載されることで、その人がどのような障害の状態にあるのかが特定され、また公的に証明されます。

先ほど「障害者とは幅広い意味を持つ言葉」と書きました。その人が「障害者」なのかそうでないのかを、一義的かつ客観的に鑑別することは、とても困難です。

そこで、障害者手帳を交付する、障害者手帳を所持することで、その人が障害者であるということが公的に証明され、誰にとっても明らかに分かるようになるわけです。

障害者手帳ってなんのためにあるの?

障害者手帳がどのような内容を公的に証明しているかについては、上に書いた通りです。

公的な証明書だと、運転免許証であれば自動車などを運転するために、マイナンバーカードであれば納税や行政サービスを利用するために、パスポートであれば日本から出国して海外へ入国するために必要となります。障害者手帳は、どのような場面で必要となるのでしょうか。

障害者とは、障害によって生活に制限を受けており、支援を必要としている場合があります。しかし、その障害者がどのような支援を必要としているかは、障害の種類や程度など、個々人によって異なるため、なんの手掛かりも無い状態から必要な支援を与えること・受けることは難しいかもしれません。

そこで、障害者手帳の出番です。障害者手帳とは、「その人がその障害にあることの証明書」です。支援を必要としている障害者が障害者手帳を提示することで、その人の障害の種類や程度が明らかになり、自分の障害に適した支援を受けることができるようになるわけです。どのような支援を受けられるようになるのかは、また別に書きます。

ただし、障害者手帳が意味する「障害者」とは、あくまでも「公的に証明された障害者」に過ぎない、狭い意味の言葉です。障害者手帳を取得するかどうかは本人の自由ですので、障害者手帳を持っていない障害者というのも当然います。

障害者手帳の種類

障害者手帳には、いくつか種類があります。大きく分けて身体障害・精神障害・知的障害についてそれぞれ別の手帳が交付され、種類によって受けられる福祉サービスが異なります。

身体障害者手帳

所定の身体障害の状態にある人に交付される手帳です。身体障害者福祉法を根拠として交付されます。

精神保健福祉手帳

所定の精神障害の状態にある人に交付される手帳です。精神保健福祉法を根拠として交付されます。

療育手帳

知的障害の状態にある人に交付される手帳です。根拠となる法令はありませんが、交付する主体は各自治体ですので、公的な証明書であることには変わりありません。

厚生労働省「障害者手帳について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html

以上が、障害者手帳についての簡単な説明です。障害者手帳を取得するメリットやデメリット、利用できる福祉サービスなどの具体的な話は、追って別の記事に書いていきます。

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