この記事は、独学で行政書士試験を受けようとしているけど、勉強する時間が無い! という社会人の方が行政書士試験の勉強をする・試験を受けるにあたって、とりあえず手早く使える小手先のテクニックについて紹介しています。
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0. 学習には電子書籍が断然おすすめ
まずですが、最近はいろいろ便利になったので、紙のテキストで勉強するのか、電子テキストで勉強するのかという選択肢が与えられています。紙の本が好きだという方は多くいらっしゃるでしょう。私も、通常の読書なら紙の本のほうが好きです。ただ、行政書士試験の勉強については、よほど特殊な事情が無い限り電子書籍を活用することを極めて強くおすすめします。
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行政書士試験はそれなりに難しい試験なので、紙のテキストや問題集のボリューム(物理的な体積や重量)もそれなりになります。重さを測ったことはないのですが、もしかしたらよく使う基本テキストだけでも1kg前後あるのではないでしょうか。
勉強する時間が無い独学社会人にとって、通退勤などのちょっとしたスキマ時間を勉強時間に変換することは、非常に重要なことです。さて、朝夕の、ほぼ満員の電車の中で、1㎏近くある分厚いテキストをカバンから取り出して広げようという気になりますか。私はなりません。紙のテキストを選択するということは、ちょっとしたスキマ時間に勉強する機会を喪失することとほぼ同義だと思います。
その点電子書籍であれば、8インチくらいのタブレットに、テキストも問題集も全部入れて携帯することができます。紙のテキストや問題集と比べればはるかに薄いし軽いですから、電車の中でも外出先でも、サッと取り出して気軽に読むことができます。
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紙の書籍と比較すると、電子書籍にはデメリットも当然あります。たとえば、1つの端末ではテキストと問題集を同時に広げられないこと。これはかなり大きなデメリットです。テキストと問題集を同時に開けないと、問題集で間違えた箇所について、テキストを参照しながら復習することができません。
ただ、テキストと問題集を同時に見たい時は、タブレットとスマホを使えばいいのです。電子書籍はスマホでも読めます。スマホの画面は小さいので、文字が小さくなって読みづらいという欠点はありますが、デカくて重いテキストや問題集を常に携帯することと比べればはるかにマシでしょう。
テキストや問題集(のデータ)と本体とは別売りというのも、デメリットに感じられるかもしれません。たしかに金額面だけ見れば、紙の書籍と比べてタブレット本体分が余計な出費だと、言えないこともないですね。
ただ、それは「電車に乗るとお金がかかるから歩いて行こう」と言っているのと同じ理屈です。わかりますか。
私が使っていたのは、AmazonのFire HD 8というタブレットです。軽くて丈夫でとても使いやすいです。定価は15,000円くらいですが、しょっちゅうセールをやっているので、タイミングが合えば1万円くらいで買えます。
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タブレットと電子書籍のおかげで、ちょっとしたスキマ時間ができたらすかさず勉強に突っこめるようになりました。通勤電車の中でも、休日にふと喫茶店に立ち寄った時でも、トイレの中でも、(チャック袋に入れれば)入浴中でも、わずかな時間があればどこにいても気軽にテキストや問題集を読むことができるのです。令和4・5年度は紙のテキストで勉強して落ちていたところ、令和6年度から電子書籍に切り替えたら合格したのは、スキマ時間をフル活用できたことが大きいように感じています。
とにかく、今日においては紙のテキストで勉強をする意味は無い。あえて紙のテキストを使うのは、もはや単なるディレッタンティズムあると言っても過言ではない。行政書士試験の勉強には、タブレットと電子書籍を使いましょう。タブレットにもいろいろありますが、Fire HD 8は比較的安く、大きさも(個人的には)ちょうどよく、軽くて薄くておまけに丈夫なのでおすすめです。本当におすすめなので、念のためもう一度リンクを貼っておきます。
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1. 学習段階でのテクニック
試験概要の記事で紹介したとおり、行政書士試験の問題形式には、大きく分けて選択式(57問、240点)と記述式(3問、60点)の2つがあります。

行政書士試験 合格までの道程(その1 試験の概要)
行政書士試験の概要について紹介します。
選択式と記述式とでは、学習方法や重要度がまったく異なります。以下では、選択式と記述式の重要度の違いについて説明します。
1.1. 選択式だけで180点を目指す
合格ラインを検討する際には、300点から記述式の60点を除外しましょう。
つまり選択式のみ、240点満点として、その中で180点を取ること、つまり選択式問題の正答率75%を目標にすることをおすすめします。記述式の点数は、ボーナス上乗せ程度に考えておくとよいでしょう。
後で書きますが、記述式の正解率は、必ずしも学習の程度に比例するとは限りません。記述式からの得点をアテにしてはなりません。
他方で選択式の正解率は、学習の程度にほぼ比例します。五肢択一式の問題でいえば、まったくランダムに回答したとしても平均20%の正解率が期待できます。そして、学習を進めれば進めるほど、正解率は上がります。
また、選択式は成否がはっきりしているため、記述式と比べて点読みがしやすいという長所もあります。
1.2. 記述式をアテにしない
記述式はたった3問なのに、配点が60点と多いので、一見積極的に対策すべきように見えるかもしれません。ただ、記述式問題を得点源としてアテにするのは非常に危険で、まったくおすすめできません。記述式をアテにすべきでない理由を、以下に2つ挙げます。
1.2.1. ヤマが張れない
1つ目、行政書士試験全体で問われる学習範囲は非常に広いわりに、記述式問題はたった3問しかないという点です。端的に言えばヤマ掛けが難しい、バクチ要素が非常に大きいのです。
記述式の対策を真面目にやろうとすると、選択式と比べて非常に大きな労力を要します。しかし、選択式と比べると、点数として報われる可能性は低いです。
1.2.2. 得点が読めない
2つ目、記述式問題の採点基準には不明瞭な部分が多く、得点が読みづらい点です。
記述式問題には部分点があるため、ピッタリ正解を書けなくても、20点のうち6点とか12点とかの部分点が貰えることがあります。
ただ、採点基準がどうなっているのかは不明で、必ずしも部分点が貰えるとは限りません。満点は取れなくとも、10点くらいは貰えるだろうと思っていたら0点だった、みたいなことはザラにあります。記述式からの得点をアテにして点読みをすると、痛い目を見ることになります。
1.2.3. 記述式の対策方法
じゃあ記述式の対策はしなくていいのか?
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そりゃ選択式で確実に180点以上取れる水準までいければ、記述式は何も対策しなくても大丈夫でしょう。
ただ、学習が十分でなかった範囲・理解度が不足していた範囲から出題された、試験問題が難化したなどの理由から、点数が下振れするリスクは必ずあります。
選択式の点数は180点を少し割ってしまっていたけれど、記述式で部分点が乗って合格した、という例はよくあるそうです(SNSとかを見ていても「記述式の結果待ち」という方がけっこういました)。なので、記述式の対策を一切しない、というのはおすすめしません。
記述式問題は、一見すると何を問われているのか、何を解答すればいいのかワケが分からない、非常に難しいように思えるかもしれません。しかし、記述式に解答するための知識は、選択式の勉強をしているうちに自然と身についていくものです。
また、記述式の解答の仕方にはコツがあります。コツさえ押さえれば、案外楽に解答できるようになります。記述式の解答のコツについては、別の記事で紹介します(すみません、まだ書きかけです……)。
1.3. 予想模試を解く
行政書士試験のために学習しなければならない分野や範囲は非常に広いのですが、実際に試験に出題されるのはたった60問です。「頑張って勉強した部分からあまり出題されなかった」「苦手な分野からたくさん出題された」ということはよく起こります。
行政書士試験には、ほぼ毎年登場するメジャーな分野からの出題もあれば、たまにしか登場しないマイナーな分野からの出題もあります。頻出分野の学習には、いくら時間と労力を注いでも良いでしょう。しかし、マイナーな分野に多くの労力を注ぐのは非効率で時間の無駄です。ただ、マイナーな分野からの出題を取れるか落とすかによって、試験の合否が変わることもありえます。
行政書士試験の問題について、分野別に見てみると、メジャーな分野もマイナーな分野も、だいたい何年か周期で出題されたりされなかったりしています。つまり、いつ、どういう問題が出されるのかは、ある程度サイクルがあるのです。このサイクルを掴むことができれば、本番の正答率も上がります。
よって、今年はどの分野から出題されそうか、ある程度ヤマを張る・勘所を押さえることが重要になります。
ただ、自分で傾向分析をするのは大変だし難しいしアテにならない。そこで便利なのが、予想模試です。
あくまで予備校が自主的に出している模擬試験ですので、予想が100%的中するわけではありません。ただ、体感ですが30~40%くらいは的中する気がします。私の場合、試験直前の1ヶ月間はひたすら予想問題集を周回していました。そしたら本番では、3問に1問くらいは「この問題、進〇ゼミで出たやつだ!」みたいな感じで、迷いなく解けました。
予想模試は本当におすすめです。丸暗記するまでやりましょう。もちろん単に暗記するだけでなく、「なぜこの選択式が正解なのか」「他の選択肢はどこが誤っているのか」はしっかりと押さえることが重要です。試験問題を解いて正誤を確認する程度なら大して時間もかかりません。予想問題集は反復して取り組みましょう。試験前1ヶ月は延々と予想問題集を解くことに集中する、くらいの気持ちでもいいと思います。
2. 試験当日のテクニック
試験当日にも、気をつけるべきポイントがあります。ここは純粋にテクニックの話になりますので、試験前日あたりにサラッと読んでいたければ結構です。
2.1. 問題文をちゃんと読む
これは択一式と記述式の両方に言えることですが、問題文をちゃんと読みましょう。「そんなの当たり前だろ」と思われるかもしれませんが、本当に大事なことなのであえて言っておきます。
2.1.1. 択一式
まず択一式について。択一式の問題は、「正しいもの(正しいものの組合せ)はどれか」「誤っているもの(誤っているものの組合せ)はどれか」という形で出題されます。ここで「正しい」と「誤っている」を読み違えてしまうことがよくあります。ここを間違えると悲惨なことになります。
「そんなマヌケがいるものか」と思われるかもしれません。しかし、試験当日は緊張しており、さらに解き急いでいます。要するに頭がバカになっています。正常な思考が働くとは限りませんから、誰しもマヌケをやってしまう可能性があるのです。「正しい」のか「誤っている」のか、どちらが問われているのか、問題をちゃんと読みましょう。
2.1.2. 記述式
次に記述式について。記述式では、問題文に与件(問題の前提となる事実、問題のスタートライン)が書かれています。与件を見落とすということは、そもそも問題のスタートラインに立っていないということです。これでは正しく解答することなどできるはずがありません。
たとえば「今年は紀年何年か?」という問題があるとします。この場合、「2025年」と答えても「令和7年」と答えても、どっちも正解になりますね。ただ、その後に続けて「ただし和暦で解答すること」と書かれてあったらどうでしょうか? この場合、「2025年」は不正解、「令和7年」が正解になりますね。与件がこれくらい分かりやすければいいのですが、残念ながら行政書士試験の記述式の問題文ではもっと分かりにくいです。なので問題文をちゃんと読みましょう。
2.2. 解答を見直す
2.1.1.にも書きましたが、試験中、特に解答中は正常な思考が働いていない可能性があります。自分ではちゃんと解答したつもりでも、実は全然そんなことなかったということもあります。そのため、極力解答の見直しをしましょう。注意すべきは以下の2点です。
2.2.1. マークシートの記入漏れ・記入ズレ
選択式問題では、マークシートに解答します。3.に書いたとおり、選択式問題は最も重要な得点源です。マークシートに記入漏れがあったり、解答欄がズレていたりすると、それはそれはもう悲惨なことになります。
問題と解答用紙を見直して、マークシートの記入漏れや解答欄のズレが無いかを確認しましょう。
2.2.2. 記述式の解答の誤字
法律用語の中には、日常生活の中ではまったく使うことが無い漢字の語句(たとえば欠缺とか)がバンバン出てきます。また、いかにも書き間違えそうな語句(たとえば心裡と心理とか)もバンバン出てきます。
記述式の解答で漢字や語句を書き間違えると、減点対象となります。冷静であれば漢字の書き間違えなどしないのでしょうけど、試験の本番では冷静でいられない可能性は大いにあります。漢字の間違いで点数を落とすのはもったいないですので、解答を見直して誤字が無いかを確認しましょう。
可能であれば、試験時間180分のうち120~150分で問題を全部解き終えて、残りの時間は確認に充てるのが良いと思います。もっとも、解答時間が足りなくなることのほうが多いんですけどね……。
3. (参考)使用したテキスト・問題集一覧
合格革命 行政書士 スタートダッシュ 2025年度版 [試験制度や勉強法もわかりやすく解説](早稲田経営出版)
合格革命 行政書士 基本テキスト 2025年度版[合格に必要な条文・判例を網羅 六法も判例集も不要!]
合格革命 行政書士 基本問題集 2025年度版 [最新本試験も含めた精選350問で合格力アップ!]
合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 2025年度 [多肢選択式の予想問題も収録!](早稲田経営出版)
合格革命 行政書士 肢別過去問集 2025年度版 [全2745肢を重要度ランクに応じてメリハリ学習](早稲田経営出版)
合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック 2025年度 [基本テキストの重要ポイントを1000問のオリジナル問題で総チェック](早稲田経営出版)