この記事は、独学で行政書士試験を受けようとしているけど、勉強する時間が無い! という社会人の方が、あまり無理せず合格を目指して勉強を開始・継続するための心構え・気の持ち方について書いています。要するに行政書士試験の精神論です。気合い!
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1. 一発合格は難しい
いきなりで大変申し訳ないのですが、社会人が独学で受験して一発で合格するのはかなり難しいと思います。私の場合ですが、行政書士試験についてネットで調べたら「法律系資格の登竜門!」なんて書いてあったんで、どうせ大して難しくないんだろと、舐めた態度で勉強をスタートしました。しかし、仕事や家事の片手間でやるにはすごくキツかったです。合格までに3年かかりましたが、これでも早いほうだと思います。
毎日仕事をしつつ勉強もして、1年で合格するのはまず無理ではないでしょうか。SNSなどには「働きながら独学で一発合格!」などと謳っている方々もいらっしゃいます。本当は素直に尊敬すべきなのでしょうが、私は性格が歪んでいるので「ウソをつくな!」と言いたくなります。
特に法律初学者の場合、まずテキストに出てくる一言一句の意味を調べて理解するところから始めなければならなりません。法律用語には、難解というか意味不明なもの、一般的な理解とは一致しない用語が多くあります。私は民法にある「意思表示」の意味を、おおまかに理解するのに3年かかりました。一応試験には合格しましたが、「意思表示」など個々の法律用語や概念について、自信を持って「理解している」とはとても言えません。
大前提として「独学で一発合格は難しい」ということは、よく頭に入れておいていただければと思います。繰り返しますが、私は3年かかりました。これでも早いほうだと思います。某匿名掲示板などを見てみると、10年近く受験し続けている人もざらにいるようです。じゃあどうすればいいのか? 後述しますが、受かるまで受ければいいのです。
2. 学習時間
2.1. 必要とされる学習時間
行政書士試験合格に必要な学習時間をネットで調べたら、約800時間と出てきました。いったんはこの説を真に受けるとして、仮に1年で合格しようとした場合、毎日2時間以上勉強しなければなりません。無理です。
2.2. 現実的に確保できる学習時間
時間が無い独学社会人にとって、どれだけ学習時間を作ることができるかという点は、1つのカギとなります。
いや、強い自律の心を持った人であれば、毎日2時間以上勉強することもできるかもしれません。ただ、私のような怠惰な人間ですと、毎日仕事と家事をしているだけでヘトヘト、空いた時間ができてもスマホを見たり寝てしまったり、休日は遊びに行きたいわで、「テキストを読もう! 勉強をしよう!」とはならないわけです。毎日2時間の勉強時間を確保することなどできようはずがありません。
「一発合格」「毎日2時間」というのは、理想であり目標です。行政書士試験に限らず、人生のすべてにおいて、高い理想や目標を持つことはとても大切なことです。とりあえずは「一発合格」「毎日2時間以上」を目標にしてやってみるのはアリでしょう。
しかし一方で、現実を直視することも同じくらい大切なことです。「一発合格」「毎日2時間以上」は、理想としては高すぎますし、目標としては現実味が薄すぎるように思います。「毎日2時間」にこだわってしまうと、勉強が強いストレス源になったり、無理がたたって生活に支障が出たりしてしまうおそれもあります。いくら資格の勉強、自己研鑽のためとはいえ、無理をしてははいけません。
2.3. 実現可能なスケジュールを立てる
まずは自分がどれだけの時間を試験勉強に充てることができるのか、現実的かつ保守的な数字を計算した上で、そこから逆算して合格までのスケジュールを立てましょう。
たとえば1日2時間以上は無理でも、1時間前後なら捻出できるという場合、2~3年あれば十分な学習時間を確保することができます。1年間という限られた期間の中から、合格のために十分な学習時間を確保するのは難しいかもしれません(というか、無理でしょう)。しかし、2~3年のスパンで考えれば、十分な勉強時間を無理なく確保することができるはずです。
ただ、あまり妥協的になりすぎるのも、それはそれで考えものです。過度の負担にならない範囲で、できるだけ頑張って時間を作るようにしたほうがいいと思います。
3. 学習効率
また、漫然と勉強しているだけでは、倍の時間をかけても合格するのは難しいでしょう。まず試験日までのスケジュールを立てて、計画的・効率的に学習を進めることが重要です。
効率的な学習方法、受験までのスケジュールを立てるにあたっては、以下のような書籍が大変役に立ちます。
合格革命 行政書士 スタートダッシュ 2025年度版 [試験制度や勉強法もわかりやすく解説](早稲田経営出版)
また、参考書の冒頭あたりに、合格に向けた学習計画、試験までのスケジュールの立て方が書いてあります。つい読み飛ばしてしまいがちですが、勉強を始めるに際してとても大事なことが書いてあるので、一読されることをおすすめします。それを踏まえた上で、試験日から逆算して、ご自分のライフスタイルに合ったスケジュールを立てましょう。
4. 運の良し悪し
4.1. ヤマが当たるかどうか
試験に合格するには、学習時間や学習効率だけでなく、運の要素も多分に絡んできます。仕事をしながらの独学ですと、1年ですべての分野を完璧に押さえるのはまず不可能です。そのため、ある程度範囲を絞って勉強する(≒ヤマを掛ける)ことになります。
たまたましっかり勉強した分野からたくさん出題された、ヤマが当たったらラッキーです。時間が無いから端折った分野からたくさん出題された、ヤマが外れたらアンラッキーです。予想模試を活用すれば、ヤマ掛けの精度をある程度上げることができるかもしれません。
しかし、本当に当たるかどうかは当日になってみないとわかりません。要するに最後は運次第ということです。
4.2. 当日の体調など
また、試験前にカゼをひいてしまうこともあるでしょう。試験は11月の第2日曜日、ぼちぼち寒くなってきて、インフルエンザとかが流行り出す時期です。
また、試験前日は緊張して良く眠れなかった、落ち着かなくて深夜まで参考書を読んでしまったということもあるかもしれません。
健康管理・自己管理は社会人の基本ですが、毎日時間を絞り出すように頑張って勉強していると、運悪く試験日に体調を崩してしまうこともあるでしょう。
4.3. 割り切りと開き直り
試験日のコンディションが万全でなかった時や、自己採点が散々だった時、不合格のハガキを受け取った時には、「体調さえ良ければ……」「勉強不足だったのだろうか……」と、後悔や自責の念に駆られることもあるかもしれません。
しかし、そもそもわれわれ独学社会人には時間が無いので、常に勉強不足なのが当たり前なのです。おまけに毎日クタクタですから、そりゃ秋になって寒くなったらカゼもひくし体調も崩すでしょう。こうしたことはどうしようもない、不可抗力なのです。
つまり独学社会人にとって、良いコンディションで受験することができて、そのうえ試験に受かるのは、とても幸運なことなのです。私は去年たまたま合格しましたが、今年受けても合格する気はしません。合格という結果は幸運によるもの、ラッキーだったと思います。
落ちた時には「今年は運が悪かった」と割り切って、来年以降の試験に向けて気持ちを切り替えることも大事です。
ただ、「単に運が悪かっただけだ」と開き直ってはいけません。すべて運任せではいけません。合否を分けるものは運だけではない、何か他の理由や要素があったかもしれません。
われわれ独学社会人には時間が無いので、常に勉強不足なのは仕方のないことですが、常に勉強不足であるという事実は受け止めねばなりません。健康管理・自己管理もまあ、ちゃんとしましょう。
不合格だった場合は、どこをどう間違えたのか、なぜ間違えたのかしっかりと振り返り、また学習方法を見直すなどして、来年以降の試験に備えましょう。
5. 諦めるな
行政書士試験は、年に1回しか行われません。そのため、落ちたらまた1年勉強を続けなければならなくなるという辛さがあります。社会人で働きながら1年間勉強を継続するのって、結構キツいです。毎日クタクタですし、時間は無いですし。
ただ、かなり難しいとはいえ、ギリギリ独学でいけるレベルの試験だと思います。税理士や司法書士と比べれば、おそらくかなりマシな難易度です。社労士と比べても若干マシだと思います。ちゃんと勉強さえしてれば、いつかは受かるはずです。
行政書士試験に受験資格はありませんから、その気になれば誰でも・いつでも受験することができます。受験回数の制限もありませんから、何度でも受験できます。門戸は常に開かれているのですから、たとえ今年は落ちたとしても、来年こそは、いつか受かるその日まで勉強を継続して受験し続けるという、諦めない心が、最も大切だと思います。
6. (参考)使用したテキスト・問題集一覧
合格革命 行政書士 スタートダッシュ 2025年度版 [試験制度や勉強法もわかりやすく解説](早稲田経営出版)
合格革命 行政書士 基本テキスト 2025年度版[合格に必要な条文・判例を網羅 六法も判例集も不要!]
合格革命 行政書士 基本問題集 2025年度版 [最新本試験も含めた精選350問で合格力アップ!]
合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 2025年度 [多肢選択式の予想問題も収録!](早稲田経営出版)
合格革命 行政書士 肢別過去問集 2025年度版 [全2745肢を重要度ランクに応じてメリハリ学習](早稲田経営出版)
合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック 2025年度 [基本テキストの重要ポイントを1000問のオリジナル問題で総チェック](早稲田経営出版)