この記事は、独学で行政書士試験を受けようとしているけど、勉強する時間が無い! という社会人の方が、記事を読み終わったらすぐに行政書士試験の勉強を始められるようになることを目標としています。少し長いですが、ヒマな時にでもご笑覧ください。
※この記事にはアフィリエイトリンクがあります0. 行政書士試験に合格しました
私事で恐縮なのですが、令和6年度の行政書士試験に合格しました。令和4年度、令和5年度に続き3回目のチャレンジで、ようやく合格しました。
令和6年度の試験は「3度目の正直」という気構えで受験しましたが、一方で「2度ある事は3度ある」とも言いますね。正直「今年もダメかもしれんね」とも思っていました。
しかしそう何度も受験するのはキツいし、できれば合格したい。そこで令和6年度は、令和4・5年度の失敗にしっかりと向き合って(過去の自分のバカさ加減が身に染みて、とても辛かったです)、できる限りの対策をして試験に臨みました。
令和4・5年度は合格点にかすりもしない、散々な結果でした。しかし昨年はそこそこしっかり対策したおかげか、かなり余裕を持って合格することができました。具体的に何点だったか、いやらしいので申しませんが、合格者の平均点は大きく上回っており、客観的に見て自慢できる点数だったと思います。
この記事では、昨年の私がどのように勉強を始めて、どういうスケジュールで学習を進めたか、やってみて良かったことや反省点などについて書きます。これから受験される方、受験を考えている方の参考になれば幸甚です。
1. 勉強を始めるための勉強(約2週間)
令和5年度の行政書士試験の結果(不合格)が分かったのは、令和6年の1月末のこと。1ヶ月ほど挫折感と無力感に打ちひしがれていましたが、もう1回やってみるか……ということで、3月の頭頃から勉強を再開しました。
過去に2回行政書士試験を受験して思ったのが、いきなり試験の勉強を始めるべきではないということです。なぜならまったく意味不明すぎて、勉強する意欲が失せるからです。
「学生時代は法学部だった」とかならともかく、まったくの法律初学者(私のような!)がなんとなく勉強を始めて、なんとなく分かるようなものではないな……ということに、2回落ちてやっと気づきました。
そこて今年は、まず行政書士試験とはどんな試験なのか、どんな分野から出題されて、どんな知識が問われるのかという、メタ的な学習から入りました。過去に2回受験しているにもかかわらず、どういう試験なのかよく分かっていなかったからです。
とりあえず、以下のような試験入門の本を読みました。令和4・5年度(私が落ちた回です)には「勉強のための勉強とかアホらしい」と思って読んでなかったのですが、令和6年度(私が合格した回です)に藁にもすがる思いで読んでみたところ、とても参考になりました。
合格革命 行政書士 スタートダッシュ 2025年度版 [試験制度や勉強法もわかりやすく解説](早稲田経営出版)
「勉強を始めるための勉強」とはアホらしく思われるかもしれませんが、行政書士試験に向けて具体的に何をすればいいのか、どう学習を進めればいいのかについて考えるための、大きな助けになりました。
試験の概要については、以下の記事もご覧ください。

行政書士試験 合格までの道程(その1 試験の概要)
行政書士試験の概要について紹介します。
2. スケジュールを立てる(約3日)
令和4・5年は漫然とテキストを読んで問題集を解いて試験に落ちていました。これではダメだと思い、令和6年はちゃんとスケジュールを立てて勉強を進めることにしました。試験入門の本にも「スケジュールを立てろ」と書いてありましたし。
この時3月半ば、試験(11月の第2日曜)までは約8ヶ月ありました。とりあえず大まかに、以下のようなスケジュールを立てました。
3月半ば~5月半ば 基本テキスト通読 5月半ば~9月 テキスト・問題集反復 9月~10月 過去問・予想模試を解く 10月~試験前日 弱点の復習理想的なスケジュールを立てたものの、現実には時間がカツカツで、このとおりにはまったく進みませんでした。ただ、学習の進捗を確認する目安にはなりましたので、とりあえず大まかなスケジュールを立てておいたのは良かったと思います。
3. とりあえず過去問(1日)
次は、とりあえず一度、去年の試験問題(過去問)を解いてみました。これは、試験の全体像をより具体的に掴むためにやりました。過去問は、行政書士試験研究センターのサイトで公開されています。
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過去に2回受験しているはずなのですが、誠に恥ずかしながら問題が意味不明で、何の話をしているのか分からない、どれが正解かほとんど検討がつきませんでした。しかし、2.で読んだ参考書のおかげで、行政書士試験とはどんな試験なのか、フワッとですが全体像を掴むことができました。
4. 基本テキストを読む(約2ヶ月)
試験の全体像がボンヤリととですが掴めたので、次はテキストを読み始めました。過去問を解いた後でテキストを読んで思ったのが、予備校が出している市販のテキストというのは実によくできているということです、テキストには、細かい点も含めて試験に必要な知識が全部網羅されているということに気づきました(今さら)。テキストを丸暗記することができれば、満点合格も夢ではないでしょうか。
なので、まずはテキストを1周しました。はじめは2ヶ月弱かけて、ゆっくりとですが隅々までもれなく読みました。
5. テキスト・基本問題集周回(4~5ヶ月)
ただ、テキスト丸暗記は現実的ではありませんね。われわれ独学社会人には、そこまでの時間の余裕はありません。また、歳を食ったせいで頭もボーッとしていますし。
個別の条文や判例について、テキストではやや抽象的な書き方がされているため、単に読んだだけでは深く理解できない部分も多々ありました。
そこで、テキストを1度読み終えたら、次は基本問題集に取り組みました。問題集はあれこれたくさん出ていますが、まずは基本的な問題集を1周しました。問題集1周目では、問題に正解することよりも、テキストから得た知識をより具体的に理解することと、自分がよく分かってないポイントを把握することを目的として取り組みました。
合格革命 行政書士 基本問題集 2025年度版 [最新本試験も含めた精選350問で合格力アップ!]
問題集を解いていると、自分の苦手な分野・理解が足りていない分野がぼんやりと見えてきます。そういう時はいったんテキストに戻って復習して……2ヶ月くらいかけて基本問題集を1周しました。
基本の問題集を1周したら、次は2周目です。要領は1周目と同じで、テキストと問題集を行ったり来たりしました。2周目が終わったら3周目。
時間が許す限り周回しましたが、どれだけやっても間違えるしよく分からない。やはり時間は足りませんでした。
6. 基本ではない問題集(3.と並行で約2ヶ月)
基本のテキストがある程度解けるようになってきた段階で、基本ではない問題集にも取り組み始めました。特に記述式は選択式とロジックがまったく異なるため、多少ですが別途時間をかけて勉強しました。
今年は選択式だけで合格点を取るのが目標だったので、記述式の勉強は軽くしかやってません。あと、単に記述式の勉強に割く時間が無かったというのもあります。ただ、記述式を丸ごと捨てるほどの度胸は無かったので、記述式の問題集も一応買って、一応やりました。
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7. 予想模試(約1ヶ月)
問題集がある程度解けるようになってきたら、予想模試という、実際の試験と同じ形式の問題に取り掛かりました。スケジュールはすでに破綻していて、この時はもう10月初旬、試験は約1ヶ月後に迫っていました。
個人的な感覚ですが、いくらテキストと問題集を周回しても、それだけで試験には受かることはないと思います。試験と同じ形式・条件で問題に取り組むことは、非常に重要です。なので、テキストや問題集はさっさと終わらせて、なるべく早い段階から予想模試や過去問に取り組むのが理想であり目標でした。が、現実は厳しく、非情でした。
予定では、予想模試だけでなく、過去問にも取り組むつもりでいました。しかし時間が無い。限られた時間を分散させるのは良くない。過去問と予想模試どちらかに集中して取り組みたいので、どちらか一方を選ばざるをえない。私は予想模試に取り組むことを選択しました。なぜなら、予想模試は予備校のプロが丹念に予想してくれたもので、予想が当たるかもしれないからです。私はプロを信じました。
予想模試は、そのへんの書店やAmazonで売ってます。予想模試は試験のだいたい半年前、4月くらいに発売されます(今年ももう発売されていますので、やるなら早く買いましょう)。
試験前の1ヶ月間は、ほぼ予想模試しかやってません。過去問は一切やりませんでした(というか、時間が無くてできませんでした)。予想模試は3回分×3周くらいやりました。間違えたところを確認しながら、繰り返しやりました。
予想模試はさすが予想模試というだけあって、100%予想どおりというわけではありませんでしたが、3~4割程度は予想どおりだったように感じます。おかげさまで結果的には合格しました。なので予想模試は大いに役立つと思います。
8. やって良かったこと
個人的にやって良かった思うのは、1.勉強のための勉強、2.スケジュールを立てる、7.予想模試の3つです。3、4、5、6については、普段の生活の中からどれだけ時間を捻出できるかによりますので、なんとも言えません。
ただ、学習のスタート(1、2)とゴール(7、試験本番)は、あらかじめ決めておくべきです。そうでないと、そもそもスケジュールを立てることができません。スケジュールを立てずに勉強すると、私のように何度も落ちることになります。
9. スケジュールの立て方と学習の進め方
9.1. 無理をしない
ここまで書いておいてなんですが、テキストを3周4周する、問題集を何冊も解くことを前提としたスケジュールを立てることは、まったく現実的ではありません。なぜなら、われわれ独学社会人にはそんな時間は無いからです。私の場合でも、当初のスケジュールに従って買ったものの、結局開きもしなかった問題集が2冊ほどありました。
テキストや問題集はたくさんありますが、それらをどういうスケジュールで進めていくのか(進められるのか)は、普段の生活の中で、勉強に割くことができる時間がどれだけあるのかによります。そして、概してそんな時間はそれほど多くはありません。
まずは実現可能な勉強時間を計算しましょう。そこから逆算して現実的なスケジュールを立てるべきです。とりあえずスケジュールを立ててみて、これは1年では無理そうだな……と思った時には、2年、3年スパンでスケジュールを立て直すのもアリだと思います。
繰り返しになりますが、われわれ独学社会人が勉強するのに十分な時間が作れないのは当然のことです。毎日仕事やら家事やらなんやらでクタクタですし。行政書士試験の勉強を頑張るのは結構なことですし、否定はしません。ただ、個人的には行政書士試験に合格することよりも、日々健やかに生活することのほうがずっと大事なことだと思います。
勉強を頑張りすぎて生活に支障をきたしたり、身体を壊しては本末転倒ですので、無理のない範囲で勉強時間を確保して、余裕を持ったスケジュールを立てることをおすすめします。
9.2. 計画的・効率的に学習を進める
とはいえ、せっかく勉強して受験するなら、さっさと合格したいですよね。しかし、われわれ独学社会人は日々の生活に追われており、時間の余裕が無い。よって、少ない時間でいかに効率的に学習を進められるかという点が重要となります。効率的な学習方法については、私がここで書くよりも、1で紹介したような試験の入門本を読んでいただいたほうが良いでしょう。
合格革命 行政書士 スタートダッシュ 2025年度版 [試験制度や勉強法もわかりやすく解説](早稲田経営出版)
また、基本テキストの冒頭部分などにも、学習の進め方や押さえるべきポイントが書いてあります。試験で問われる法律の知識とは関係が無いので、つい読み飛ばしてしまいがちな部分ですが、実はとても大事なことが書いてあると思います。
また、学習範囲がとても広いので、分野ごとにより細かい計画を立てて勉強を進めることも必要になります。科目別・分野別の学習については、以下の記事である程度具体的に紹介していますので、もしお時間があればぜひどうぞ。

行政書士試験 合格までの道程(その3 法令科目・分野別学習)
行政書士試験・法令科目の内容や難易度・重要度、対策の方法について紹介しています。

行政書士試験 合格までの道程(その4 基礎知識科目・分野別学習)
行政書士試験・基礎知識科目の内容や難易度・重要度、対策の方法について紹介しています。
10. (参考)使用したテキスト・問題集一覧
合格革命 行政書士 スタートダッシュ 2025年度版 [試験制度や勉強法もわかりやすく解説](早稲田経営出版)
合格革命 行政書士 基本テキスト 2025年度版[合格に必要な条文・判例を網羅 六法も判例集も不要!]
合格革命 行政書士 基本問題集 2025年度版 [最新本試験も含めた精選350問で合格力アップ!]
合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 2025年度 [多肢選択式の予想問題も収録!](早稲田経営出版)
合格革命 行政書士 肢別過去問集 2025年度版 [全2745肢を重要度ランクに応じてメリハリ学習](早稲田経営出版)
合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック 2025年度 [基本テキストの重要ポイントを1000問のオリジナル問題で総チェック](早稲田経営出版)