行政書士試験 合格までの道程(その3 法令科目・分野別学習)

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行政書士試験

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0. 法令科目共通

行政書士試験の勉強を進める上では、テキスト・問題集、条文、判例が3つの柱となります。どこに重きを置くかは科目によって異なりますが、この3つが重要である(逆に言えば、この3つ以外は重要ではない)ということは覚えておいてください。

ちなみに、一般的なテキストであれば、試験に必要な条文だけまとめた「ミニ六法」みたいなのが付録で付いてきます。なので、別で「ポケット六法」などを買う必要はありません(便利なのであってもいいですけどね)。

重要な判例については、以下のサイトのように、インターネットの親切な方々が分かりやすくまとめてくれています。そちらのお世話になりましょう。

京都産業大学法学部・主題別 判決一覧

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法令科目は、基礎法学・憲法・行政法・民法・商法(会社法)の5分野に分かれています。

以下では、各分野の私なりの対策法について紹介します。それぞれの分野について、難易度と重要度をそれぞれ5段階評価しました。学習する際の参考になれば幸甚です。

1. 基礎法学

令和6年度試験での基礎法学からの出題は2問、配点は8点でした。基礎法学は出題数が少なく、重要度も低いため、市販のテキストでは法令科目の最後らへんでサラッと触れられていることが多いです。ただ、実際の試験では冒頭で出題されるので面を食らいます。

「基礎」法学という名前のとおり、法律の基礎を学ぶ科目です。私のように「そもそも法律って何?」みたいな初心者の方は、初めに基礎法学の項を軽く押さえておくと、他の法令科目を学習する際に大いに役に立ちます。なんせ法学の基礎ですので。

この記事でも、試験での出題順にならって、また学習順での優先度を鑑みて、基礎法学から紹介します。

1.1. 法学概論

難易度 1/5

重要度 3/5

法学概論は、テキストを読んだ上で、問題集や過去問をひととおり解くだけで十分です。それほど多くの力を割く必要はありません。

ただ、よく使われる法律用語など、その後の学習の中で重要と思われる内容について解説されている科目でもあるため、中身はちゃんと覚えておきましょう。

1.2. 紛争解決制度

難易度 1/5

重要度 3/5

テキストと問題集で十分です。裁判制度に触れられているため、トラブルを法的に解決する方法、訴訟の流れを知るのにはちょうどいいかもしれません。

2. 憲法

令和6年度試験での憲法からの出題は6問、配点は28点でした。配点はそれほど多くはないものの少ないとも言えない、そのくせ大小様々な知識が問われる、厄介な分野です。

憲法は、さらに細かく総論・人権・統治の3分野に分けられます。

2.1. 総論

難易度 3/5

重要度 1/5

総論では、憲法全般に関する内容が問われます。テキストを読みましょう。

2.2. 人権

難易度 3/5

重要度 3/5

人権では、文字どおり人権について問われます。個別の事件の判例についての問題が多いので、テキストと合わせて、上で紹介したサイトなどで最高裁の判例を読むといいでしょう。重要な判例については詳細に問われることがあります。しかし重要な判例の数はあまり多くないので、それほど苦労はしないと思います。

余談ですが、判決文の文章の構成は独特で、まず「主文」の項に短く判決(結論)が、続く「理由」の項に裁判所がその判決(結論)に至った理由がつらつらと書かれています。

重要な判例については、「理由」について問われることがしばしばあります。たとえば「合憲か違憲か」という結論だけではなく、「なぜ合憲(違憲)なのか」という理由の部分も押さえるようにしましょう。

2.3. 統治

難易度 2/5

重要度 3/5

統治では、議会や内閣や裁判所など、国の統治機関について問われます。統治は、条文を知っているかどうかで得点できるかどうかがほとんど決まります。テキストと条文を併読しましょう。

3. 行政法

行政書士試験受験界隈では、「行政法を制する者は行政書士試験を制する」なんて言われてるそうです。令和6年度の試験での行政法からの出題は22問、配点は112点でした。出題数・配点ともに、全体の1/3以上を占めます。たしかに非常に重要な科目であり、行政法を押さえられないとほとんど話になりません。

「行政法」という、一個の独立した法律があるわけではありません。行政手続法や行政不服審査法、行政事件訴訟法など、行政に関わる法律をまとめて「行政法」と呼びます。つまり複数の法律を勉強する必要があり、学習が大変だということです。

行政法の分野では、まずテキストと条文を押さえることが重要となります。判例についても問われますが、憲法の判例問題と比較すると、より具体的で論点が分かりやすく、テキストの内容だけで十分に理解できる・覚えられる問題が多いです。例外的に難しいのは「宝塚パチンコ条例事件」の判例くらいでしょうか。

宝塚パチンコ店建設中止命令事件

行政機関内部の手続や、行政機関同士の関係についての問題も多く出題されるため、市役所勤務とかでないと語句や話題に馴染みが無さすぎて、初めのうちは何の話をしてるのかさっぱり分からないというのが大きな難点となります。慣れるまで頑張りましょう。

さらに、主要な法律が複雑かつ深く関連しているため、それぞれ単独で勉強するよりも、行政法全体を一体のものとして勉強したほうがいい(=学習範囲が広く、勉強が大変になる)というのも厄介な点です。

なにはともあれ、大事なのはテキストと条文です。まずは腰を据えてテキストと条文にあたりましょう。

3.1. 行政法の一般的な法理論

難易度 3/5

重要度 5/5

行政法を理解する基礎となる部分です。行政法における基本的な用語など、覚えるべきことが多くあります。また、それらの用語の言い回しが独特というか、日常生活において馴染みの無いものが多いので、慣れるまでは難解に感じるかもしれません。ただ、一度慣れればそれほど難しくはないはずです。

ここでつまずくと、その後の個別の行政法はまったく話にならなくなります。非常に重要な部分です。ここはテキストをしっかり読みましょう。

3.2. 行政代執行法

難易度 3/5

重要度 4/5

行政代執行法については、市販のテキストだと3.1.に含まれることが多いのですが、個人的に重要だと思うので挙げておきます。

短い(6条までしかない)わりによく出るほか、記述式などでは他の行政法とセットで出てくることがよくあります。しっかり押さえましょう。

3.3. 行政手続法

難易度 4/5

重要度 5/5

難解かつボリュームも多いです。テキストと条文を読んで、問題集を解きましょう。

3.4. 行政不服審査法

難易度 4/5

重要度 5/5

同上。

3.5. 行政事件訴訟法

難易度 4/5

重要度 5/5

同上。行政法の中でも行手法、行審法、行訴法の3つは、特に出題が多く、また関連が深い分野です。テキストや問題集をあちこち行ったり来たりするハメになると思いますが、頑張りましょう。

3.6. 国家賠償法

難易度 3/5

重要度 4/5

テキスト・条文・問題集。短い(6条までしかない)わりに、よく出ます。しっかり押さえましょう。

3.7. 地方自治法

難易度 3/5

重要度 5/5

テキスト・条文・問題集。他の行政法と比べると、条文が圧倒的に多いです。ただ、他の行政法と比べると、内容自体はそれほど難しくはありません。テキスト・問題集を中心にして、要点を絞って勉強することをおすすめします。

3.8. その他

難易度 年度による

重要度 1/5

令和6年度の公文書管理法に関する問題など、上に挙げた法律以外からも出題されることがたまーにあります。それらは個別に条文を読むまでする必要はありません。テキスト・問題集で採り上げられている点だけ押さえておけばOKです。

4. 民法

令和6年度試験での民法からの出題は11問、配点は76点でした。出題数・配点ともに、行政法と同じくらい重要な科目です。

そして、行政法以上に範囲が広いです。行政法は主要なものを全部足してもおそらく500条前後だと思うのですが、民法は単独で1000条を超えます。当然ながら条文だけでなく判例についても問われます。最悪です。マトモにやるにはどうしようもない分野だと言ってもいいでしょう。

そこで頼りになるのがテキストです。テキストは、1000を超える民法の条文と、それに付随する様々な論点や判例を、300ページ程度に圧縮してくれます。そして、試験に必要なことは全部テキストに書いてあります。なのでとにかくテキストを読み込んで、問題集を解きましょう。テキストで強調されている条文や、よく見かける条文以外で、個別の条文を読むのは極力やめましょう。ほぼ時間のムダです。

テキストだけでは理解できない部分が出てくるかもしれませんが、そういうのは理解できないままで構いません。人生何事においても理解に努めるのはとても大切なことですが、行政書士試験に限って言えば時間のムダです。理解できないままでいいので覚えてください。

4.1. 総則

難易度 5/5

重要度 5/5

テキストを読んで、問題集を解きましょう。

総則をしっかりやっておくと、その後の物権や債権、親族や相続の勉強が楽になります。

4.2. 物権

難易度 5/5

重要度 5/5

テキストを読んで、問題集を解きましょう。

4.3. 債権

難易度 5/5

重要度 5/5

テキストを読んで、問題集を解きましょう。

総則、物権、債権を合わせて「財産法」と呼びます。財産法は「民法の核」と言っても過言ではないため、重要度は非常に高いです。また、財産法はそれぞれ相互に深く関連しています。難易度はかなり高いですが、落とせない分野なので頑張りましょう。

4.4. 親族

難易度 3/5

重要度 2/5

あまり重要ではありませんし、それほど難しくもありません。テキストを読んで、問題集を解きましょう。

4.5. 相続

難易度 3/5

重要度 3/5

「親族」と同様に、テキストを読んで、問題集を解きましょう。

親族と相続を合わせて「家族法」と呼びます。家族法は出題頻度が低いため、重要度はそれほど高くはありません。ただ、高齢化のご時世なのか、相続からの出題が増えているように感じます。なので、相続の重要度は少し高めに評価しています。

5. 商法(会社法)

令和6年度試験では、商法から5問出題され、配点は20点でした。他の法令科目と比べると出題も配点も少なく、重要度は低いとされる科目です。

そのせいか、行政書士試験の対策について書いたサイトには「商法は捨てろ!」などと書いてあるのを見かけます。しかし、個人的には捨てるのはおすすめしません。なぜなら簡単で得点しやすいからです。

私が使っていたテキストの付録のミニ六法には、商法・会社法は収録されていませんでした。つまり予備校の判断では、テキストの要点さえ押さえれば、条文を読む必要は無いということです(多分)。

実際に、テキストで解説されている以外の点から出題されることはほとんどありません。テキストの量も大したことはありません。テキストをしっかり読みさえすれば、商法(会社法)は得点源になります。20点って結構デカいですよね。

5.1. 商法

難易度 2/5

重要度 2/5

令和6年度試験での商法からの出題は1問、配点は4点でした。テキストを読んで、問題集を解きましょう。

商法は簡単なので、あまり苦労しないと思います。

5.2. 会社法

難易度 3/5

重要度 3/5

令和6年度試験での会社法からの出題は4問、配点は16点でした。商法より会社法のほうが重要だと言っていいでしょう。テキストを読んで、問題集を解きましょう。

会社法は、商法と比べると細々とした点が多く、一見すると難解です。しかし、テキストの内容を暗記すれば問題は解けます。理解は諦めて暗記してください。

6. (参考)使用したテキスト・問題集一覧

合格革命 行政書士 スタートダッシュ 2025年度版 [試験制度や勉強法もわかりやすく解説](早稲田経営出版)

合格革命 行政書士 基本テキスト 2025年度版[合格に必要な条文・判例を網羅 六法も判例集も不要!]

合格革命 行政書士 基本問題集 2025年度版 [最新本試験も含めた精選350問で合格力アップ!]

合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 2025年度 [多肢選択式の予想問題も収録!](早稲田経営出版)

合格革命 行政書士 肢別過去問集 2025年度版 [全2745肢を重要度ランクに応じてメリハリ学習](早稲田経営出版)

合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック 2025年度 [基本テキストの重要ポイントを1000問のオリジナル問題で総チェック](早稲田経営出版)

2025年度版 合格革命 行政書士 法改正と直前予想模試

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