自立支援医療制度を活用しよう

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精神障害者福祉

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精神科通院と自立支援医療制度

精神疾患や精神障害をお持ちで、精神科へ通院している方だと、一回くらいは「自立支援医療制度」という名前を聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

自立支援医療制度というのは、端的に言えば精神科への通院や薬の処方などに必要な医療費を、自治体が補助してくれる制度です。

この記事では、自立支援医療制度について、さわりだけ簡単に説明します。詳しいことは別の記事を作って、改めて紹介したいと思います。

なお、記事の内容はほぼ私の体験に基づくもので、東京都の情報しか参照していません。

実際に制度を利用される際は、必ずお住まいの自治体の窓口やウェブサイトをご確認ください。

参考:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.html

精神科通院はお金がかかる

精神疾患・精神障害をお持ちで、精神科での治療を続けている方ならほぼ誰しもが直面する悩みだと思うのですが、治療にはとにかくお金がかかります。

まず通院にお金がかかります。病院によって差はあるのかもしれませんが、私の場合は毎回の診察にだいたい2,000円程かかっていました。

そして、服薬するのにもお金がかかります。精神疾患や精神障害で服薬する場合、複数の薬剤を処方されることも珍しくないため、薬の量も多くなりがちです。私の場合では、一回の会計で5,000円以上支払わなければならないことが何度もありました。

すると、月一回くらいの通院ペースでも、毎月10,000円程度の支出が発生するわけです。また、精神の状態が安定せず、通院回数が増えた場合には、もっと多くのお金がかかる可能性があります。

さらに、精神疾患が寛解するには非常に長い期間を要することが多くあります。また、精神障害の場合には、定期的なケアを死ぬまでずっと続けなければならないこともあります。

つまり我々は、ゴールが見えないまま延々と、毎月10,000円を払い続けなければならないわけです。

自立支援医療制度を利用するメリット

精神通院の経済的な負担を軽減することができる

元気に仕事ができていれば、月に10,000円程度の支出はそれほど問題にはならないかもしれません。たまに外食とかしてると、10,000円くらいすぐですよね。

しかし、精神疾患や精神障害で困っている時というのは、往々にして仕事を休みがちになったり、あるいは仕事を辞めて無職になったりしていることが多いです(私は、そうでした)。よって、経済的にも余裕が無い場合が多いのではないかと思います(私は、余裕無いです)。

収入が減少している、あるいは無収入の状態で、毎月10,000円かけて治療を続けていくのは、かなりキツいものがあります。

かと言って治療をしないままでいると、いつまで経っても状態は良くならず、元気に働いて収入を得ることは難しいでしょう。

また、精神科と向精神薬に毎月10,000円も払うんなら、どっちかと言えば外食とかしてたいよね、外食とかしてたほうがマシだよねというのもあります。

こういうとき、自立支援医療制度を使うことで、精神科通院の経済的負担を軽減することができます。

医療費の自己負担額が3/10から1/10になる

自立支援医療制度の内容について、本来は細々とした説明を重ねなければならないのですが、それは追々やっていくとして、本稿では制度のさわりだけ、ごく簡単に紹介します。

自立支援医療制度を使うと、精神科の治療に関わる医療費の自己負担割合が1/10になります。

日本は国民皆保険の国なので、私たちは基本的になんらかの健康保険に加入しています。カゼや骨折などで病院にかかる際には、この健康保険から医療費の7/10が支払われており、残りの3/10を、病院の窓口などで、自分のお財布から支払っているのです。

前の項で「診察2,000円弱」「薬5,000円弱」と書きましたが、これは健康保険が適用された後の金額なので、実際の医療費の3/10です。もし無保険なら、医療費の負担額はざっくり3倍以上になりますので、「診察6,000円」「薬15,000円」となります。恐ろしい話です。ありがとう健康保険制度。

自立支援医療制度を使うと、健康保険による3/10の負担から、さらに2/10を自治体が負担してくれるので、自己負担額は1/10になります。

大まかな計算ですが、今まで2,000円弱かかっていた診察代が600円程度に、5,000円弱かかっていた薬代が1,500円程度になり、治療にかかる金銭の負担を大幅に減らすことができます。

さらに自己負担が減る場合もある

また、自立支援医療制度を使うと、毎月の自己負担額に上限が設けられる場合もあります。

たとえば住民税非課税世帯の場合には、月額2,500円または5,000円が自己負担の上限となります。この上限を超えた医療費については自治体が負担してくれますので、自分で支払う必要は無くなります。

この上限は、世帯の所得(正確には所得に対して課税された住民税の額)によって決まります。所得が多い場合には、自己負担額の上限も高くなります。

治療費の補助を継続的に受けることができる

精神疾患・精神障害の治療には非常に長い期間を要するため、多くの場合において継続的な通院・投薬治療が必要になってきます。

自立支援医療制度を利用すれば、長期間にわたって医療費の補助を受けることができます。

1年ごとに更新の手続きをする必要があるので、若干手間はかかりますが、少ない負担でゆっくりしっかり治療に取り組むことができるのは非常にありがたいことです。

自立支援医療制度を活用しよう

自立支援医療制度を利用することで、医療費の負担を大幅に軽減することができます。

自立支援医療制度の利用にはいくつかの条件があり、また自治体での手続きも必要になりますが、精神疾患・精神障害で通院・服薬を続けている方は、制度を活用されることを強くおすすめします。

自立支援医療制度を利用するための条件や手続きの方法、制度を利用することのメリットやデメリットなどについては、別の記事で詳しく書く予定です。

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